ロボットの高位行動のための環境認知ライブラリ”vector_map”の開発と実装

背景

人手不足を背景に,産業分野において,ロボットの需要が高まっています.現在,運用されている産業用ロボットのほとんどは,事前に動作を指定するティーチングが必要である.ティーチングには時間とコストがかかり,ロボットは,想定される動作だけしか行うことができない.今後,求められているロボットは,自身が人間から与えられたタスクを分解し,実行するロボットです.このような高位行動ロボットの実現を目指しています.

VECTOR-MAP

ROSロボットの行動環境はSLAMで取得した点群地図で記録されています.この形式では障害物の位置座標を記録しており,移動のプランニングは現在地から与えられた移動先の座標まで障害物との接触がない経路を計画しています.この点群はそれぞれ独立しており,一物体を構成する領域を定義していません.高位行動には「リビング」,「キッチン」といった部屋の領域の詳細情報が必要となります.領域の詳細情報を認知することで,座標ではなく,領域の区分を考慮した行動プランニングが実現できると考えています.

ベクターマップ形式は点群地図を画像処理的な手法で処理することで領域を構成する角点とそれを結ぶ方程式で表現しています.これにより,一つの領域を構成する境界線を定義でき,ロボットと目標物の座標,地図の全てを含めて代数幾何的な移動プランニングを行うことが可能になっています. このvector_mapライブラリをGitHub上で公開しており,企業向け研修でも利用されています.

関連資料

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